戸籍証明等の広域交付

1.概要

(1)背景や概要

従来、居住地と異なる本籍地における戸籍謄本等の取得の際は、その本籍地の役所に足を運ぶか郵送に限られていました(※)が、2024/3/1から施行開始の「広域交付制度」を用いれば、本人に加え直系または配偶者の戸籍に関しては、本人の本籍地における窓口請求で取得可能となりました。

※自身の戸籍ならば、役所またはコンビニでの利用登録申請でコンビニ交付も可能。

(2)要件

・あくまで本人による窓口請求
※郵送、コンビニは不可。任意代理人、成年後見人などの法定代理人、第三者請求、士業による職務上請求も不可。
・身分証明となる書類の提示必要
・取得可能な範囲は本人、直系または配偶者のみ
※本人から見て配偶者の親、子の配偶者などは取得不可。養子・養父母は直系扱いなので可能。
・コンピュータ化されていない戸籍や除籍は不可。戸籍附票も不可

(3)メリットとデメリット

①メリット

・最小限の労力で、戸籍を一度に請求可能

②デメリット

・特に無さそうだが、交付の際に時間はかかりそう
※待つのが難しければ、受付番号を控えての翌日受け取りを可能としている自治体もある。
・料金の予想がつかないので、大目に用意しておく必要がある
※電子マネーでのキャッシュレス決済使用の場合は事前チャージ。

2.手順や必要書類

(1)手順

①広域交付制度での請求者を定める

②請求者自ら、本人確認書類を持って本籍地の役所で窓口請求

※相続等での戸籍収集ならば、残りの収集についても他の法定相続人に広域交付制度を使ってもらったり、遠隔地ならば士業に依頼する手もある。

(2)必要書類

・顔写真つき本人確認書類の原本持参
※マイナンバーカードや運転免許証、パスポート等。

(3)提出や問い合わせ先

詳細については、本籍地の自治体への問い合わせ推奨。

3.注意点

注意箇所備考
誰が広域交付請求するかが重要?「例1」祖父が交付請求

「例2」孫が交付請求

「例3」甥姪が交付請求

※兄弟姉妹が被相続人の場合に、兄弟姉妹の誰かが父母の戸籍を交付請求しても良いが、例えば亡兄弟姉妹の甥姪がいるなら手数料等を払って父母の分まで取ってもらうのも有り?
戸籍附票は広域交付不可・戸籍附票(または住民票)を別途郵送請求となると手間がかかるので、被相続人や遺産相続人と同じ本籍地(または住所地)の者が広域交付請求できるなら、そちらに頼んだ方が良さそう?
運用開始直後のシステム負荷集中あり他の先生から市役所でトラブルが起きている旨を聞いていたが、法務省と各自治体との連携システムの負荷集中だったらしい。
検索パフォーマンス改善や負荷集中回避策などで徐々に治まっていくのではと思う。

遺言・相続だけでなく損壊家屋解体申請での未相続案件など、本人による戸籍収集で絶大な利便性を発揮するのは間違いないので、頑張って頂きたい。

NHK/戸籍広域交付制度 初日 アクセス集中で証明書発行しづらい状況
成年後見人・保佐人、補助人は広域請求不可あくまで自身による請求が必要。
例えば被保佐人が法定相続人の場合で、その者の広域請求で直系や配偶者全ての戸籍を取れるならば、保佐人が同行し必要に応じた同意のうえで、本人による広域請求をした方が良いかもしれない。

4.ご参考HP

法務省/戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)
海津市/戸籍法の改正に伴う広域交付等の開始について

5.更新履歴

・2024/03/01:ページ公開
・2024/03/02:「3」追記
・2024/03/10:「3」追記

法定相続人の確定と法定相続分計算

1.概要

(1)背景や概要

被相続人が亡くなったあと遺言書が無い場合は基本的に、遺産を承継する権利を持つ「法定相続人」全員で分割方法を話し合う「遺産分割協議」が必要となります。

その際に基準となる分割割合が民法で定められている「法定相続分」になります。
本ページでは「法定相続人」確定と「法定相続分」計算の方法について説明します。

また、遺言書が存在し例えば一人に全財産が相続される旨の記載があった場合、法定相続人がある価額まで請求できる「遺留分」の計算についても触れています。

2.法定相続人と法定相続分

(1)法定相続人

①基本

・被相続人から見て[配偶者]+([子]>[親]>[兄弟姉妹]の順でいずれか)
※[配偶者]のみ、[配偶者]+([子]or[親]or[兄弟姉妹])、([子]or[親]or[兄弟姉妹])のみの7パターンあり。
下記の具体例ご参照。

②代襲と再代襲

・(代襲)被相続人死亡時に既に子が死亡していた場合、孫が法定相続人になる。兄弟姉妹も同様。
・(再代襲)子も孫も死亡の場合は曾孫が法定相続人になる。同様にその下の卑属にも再代襲に制限無し
兄弟姉妹は再代襲無し
養子縁組による子の連れ子には代襲権無し
・欠格や廃除(兄弟姉妹不可)は代襲要因になる。放棄は代襲にならない
※放棄はそもそも法定相続人で無かったことになるため。
欠格廃除放棄についての詳細は「相続会議」さんのページご参照。

③直系尊属

・父母が死亡し祖父母が生存の場合は、祖父母が直系尊属として法定相続人になる
現実的にはほぼ無いがその上も制限なし。祖父母が居なければ曾祖父母がなる。

④非嫡出子(婚外子)

・非嫡出子も子と同様

(2)法定相続分

①基本

遺産全額を割合1とします。

・[配偶者]or[子]or[親]or[兄弟姉妹]のいずれか一つのみの場合→どの場合も[1]
・[配偶者]+[子] → [1/2]:[1/2]
・[配偶者]+[親] → [2/3]:[1/3]
・[配偶者]+[兄弟姉妹] → [3/4]:[1/4]

②[子]or[親]or[兄弟姉妹]が複数

・人数で等分
・子については、非嫡出子も異父母の場合も同じ割合
・ただし兄弟姉妹については、「異父母兄弟」は父母双方が同じ兄弟の1/2になる

③特別受益(法定相続人への生前贈与や遺贈、死因贈与)や寄与がある場合

・特別受益分は財産総額に足して、分割後の受益者の価額から引く
※受益者は既に利益を受けているので、その分を加味して相続分を減らすイメージ。
・寄与分は財産総額から引いて、分割後の受益者の価額に足す
※寄与者が貢献した分は財産価額に入れないイメージ。

④特別寄与や法定相続人以外への贈与・遺贈がある場合

・遺産価額から引く
※あくまで相続分の計算上ではということで、贈与・遺贈に対する遺留分侵害額請求の際には遺産総額に含まれる。

⑤数次相続がある場合

・一次と二次、三次・・・は分けて考える
・法定相続情報一覧図は各次別個に申出する必要があるので、相続関係説明図も分けて書いた方が〇

3.遺留分

遺言書の内容次第では、第三者への遺贈や特定の法定相続人が多く相続することにより、その他の法定相続人が全く相続できない可能性も出てきます。
その場合でも、法定相続人には一定割合で財産を引き継ぐ権利が与えられており、それを「遺留分」といいます。

遺留分侵害に不服がある場合は、遺贈や贈与を受けた相手に対して遺留分侵害額請求(旧法での遺留分減殺請求)を行うことができます。
話し合いの協議で解決しない場合は、調停や訴訟に発展する可能性があります。

※遺留分侵害額請求の時効は「相続と遺留分侵害を知ってから1年以内」か「(知らなくとも)相続開始から10年」。詳細は相続会議さんのページご参照。

遺留分の計算方法は以下。

・親のみの場合は1/3
兄弟姉妹には遺留分無し
従って法定相続人が[配偶者]+[兄弟姉妹]の場合は、遺留分を持つのは[配偶者]のみ
・あとは法定相続分の半分と覚えれば良し
※つまり遺留分合計は親のみの場合1/3、それ以外は1/2。

4.具体例、注意点

(1)具体例

法定相続人になり得る範囲の親族が存命している場合の具体例。
法定相続人を探す意味で、他の親族の情報も入れています。

おまけとして昔作った独自ツール「法定相続分自動計算シート」の使用例も入れておきます。

no生存法定の相続人・相続分と遺留分独自ツール使用例
1配偶者のみ・配偶者:1 (遺留分1/2)
2配偶者と子3人・配偶者:1/2 (遺留分1/4)
・子3人:各1/6 ( 〃1/12)
※1/2 (遺留分1/4)を3等分。
3子3人のみ・子3人:各1/3 (遺留分1/6)
4兄弟姉妹3人のみ(うち異父母兄弟1人)・全血2人:各2/5 (遺留分0)
・異父母1人:1/5 ( 〃0)
異父母兄弟には非対応
5両親と兄弟姉妹2人・両親2人:各1/2 (遺留分1/6)
6配偶者と兄弟姉妹2人・配偶者:3/4 (遺留分1/2)
・兄弟姉妹2人:各1/8 (遺留分0)
7祖父と兄弟姉妹2人・祖父:1 (遺留分1/3)
8孫のみ・孫:1 (遺留分1/2)

(2)注意点

注意点備考ご参考

5.当事務所のサポート内容と料金

(1)サポート内容

・戸籍等の読み込みによる法定相続人確定
・法定相続分と遺留分算出
・相続関係説明図作成

(2)料金(税込)

・相続関係説明図作成:15,000円~
※その過程で法定相続人確定、法定相続分と遺留分も算出します。

6.ご参考HP

7.更新履歴

・2023/10/13:ページ公開
・2023/10/21:記事修正

大切な方が亡くなられてから

1.概要

(1)背景や概要

大切な方が亡くなってから相続までの流れをまとめます。
詳細記載が必要なものについては別記事を作りますので、そちらをご参照下さい。

※いわき市の方で掲載しているお悔やみハンドブックチェックリストが非常に見やすくまとまっているので、大変お勧めです。

2.手順や必要書類

(1)手順

①死亡後の連絡や届け出

手続き等期限どこへ必要書類備考
死亡届死亡を知ったときから7日以内市区町村役所通常、死亡届を出せば住民票の登録も抹消される。
印鑑登録も抹消されるので、返却せず遺族による処分可能。
死体火葬許可申請 〃 〃
親族等への連絡大体は死亡当日~2日以内
葬儀の準備 〃葬祭場、
火葬場など
([故人が世帯主]かつ[残世帯員が2名以上]の場合)世帯主の変更届死亡日から14日以内市区町村役所

②停止や解約

手続き等期限どこへ必要書類備考
電気、水道、ガスすみやかに各事業者
住宅の賃貸借契約 〃 〃
クレジットカード 〃 〃
電話やプロバイダ 〃 〃
有料放送や動画サービス
※NHKや衛星放送、ケーブルテレビ、その他ネット関係の有料サービス。
 〃 〃
住宅ローン 〃 〃
預貯金関係の金融機関場合による 〃銀行に死亡届出か残高証明の発行請求(有料)をすれば凍結される。
 
凍結は必須でないので、場合によって判断しても良い。
・(引き落としが続いており請求元を把握している場合)
全て停止させた段階で通帳記帳して残高把握。
・(請求元が分からない引き落としがある)
あえて凍結させて、紙面での請求書が届くのを待つなど。
・(相続税がかかりそうな財産額)
残高証明書の取得が必要となるので、確実に凍結される。
国保、健保、後期高齢者医療保険、介護保険
国民・厚生年金
※未支給分の請求も同時に行える。
国民年金/未支給年金の給付と受給権者死亡届
被保険者証や受給者証の返却
運転免許証
※遺族に返納義務は無いが、悪用を防ぐ意味でも返納が無難。
警察署・故人の免許証
・死亡が確認できる書類(死亡診断書、死亡記載がある戸籍謄本または抄本、住民票除票)
・申請者の身分証明書(運転免許証等)

③簡易に出来る変更・移転

手続き等期限どこへ必要書類備考
軽自動車や小型バイクの名義変更すみやかに軽自動車検査協会認印、住民票

④一時金などの請求

手続き等期限どこへ必要書類ご参考
葬祭費または埋葬費の支給申請
※国保、後期高齢者医療保険。その他の健保。
国保/亡くなったとき(葬祭費の支給)
後期高齢者医療制度における療養費等の支給
協会けんぽ/ご本人・ご家族が亡くなったとき(埋葬料(費))
死亡保険や個人年金

⑤相続の準備

手続き等期限どこへ必要書類備考
遺言書の存否確認
戸籍等の収集
(法定相続人の調査・確定や添付書類として)

※公正証書遺言の場合は全部は必須で無いので、★付で注記。

法務局や税務署に出す証明書類には有効期限無しなので、内容変更が無ければ使い回し可能。
市区町村役所
または
コンビニ

※マイナンバーカードでのコンビニ交付に対応している市区町村であれば「現在戸籍」「住民票」「戸籍附票」「印鑑証明書」の取得は可能。
住所地と本籍地が異なる場合は、非対応であったり事前登録が必要なことがあるので、郵送申請が便利。
・「被相続人の出生~死亡の戸籍」
※★の場合は死亡による除籍部分のみ。
・「 〃  の住民票または戸籍附票」
・「法定相続人全員の現在戸籍」
※★の場合は相続人のみ。
・「不動産を相続する者の住民票または戸籍附票」
※本籍地の記載必要(戸籍附票の場合は戸主と本籍記載)。

※連絡がつく法定相続人については、現在戸籍を自身で取得してもらうのが吉。
戸籍や世帯に一人もいなくなった場合の呼び方は[除籍謄本or抄本]や[住民票除票]。
現在の情報については基本的に抄本で良いが、法定相続人が被相続人と同じ戸籍や世帯に居る場合は、謄本を取得すれば一通で済む。
相続財産の調査・確定・現金を始め、通帳や保険証券、キャッシュカード、不動産の登記済権利証または登記識別情報などが無いか確認
・不動産の固定資産課税明細書を紛失してしまった場合は市役所で「固定資産評価証明書(いわき市での呼び名は資産証明書」を取得すると良い
・不動産の仔細確認のためには、法務局での「登記事項証明書」取得か、または「登記情報提供サービス」を利用する方法もある
※おそらく司法書士の先生からは登記事項証明書の原本を望まれるかと思う。
登記事項証明書はオンライン申請が便利。ただし利用者登録とネットバンキング支払が必要。
(必要ならば)相続放棄や限定承認の申述相続を知ってから3ヵ月以内
※何もしなければ単純承認になる。
家庭裁判所他の法定相続人があとで相続を知ったり、相続放棄をする可能性があるならば、期間伸長の申立てをしておくのが無難。

詳細の相談は弁護士または司法書士へ。またはご自身で。
相続の限定承認の申述 ※書式
相続の放棄の申述 ※書式
(公正証書や法務局保管の自筆でない遺言書がある場合)検認 〃
(必要ならば)遺言執行者選任の申立て

※遺言書に遺言執行者の指定が無い、または遺言執行者が亡くなっており、選任の必要がある場合。
 〃
法定相続情報一覧図の作成 ※任意だが推奨。下記いずれかの登記所
「被相続人の最後の本籍地」「被相続人の最後の住所地」「申出人の住所地」「被相続人名義の不動産の所在地」

※郵送が使えるが、申出人や代理人の出しやすい登記所が〇。
・これ一枚で戸籍一式の代替ができる
ただし銀行では、被相続人の出生~死亡に係る戸籍部分の代替がほとんど。
・法務局で戸籍をチェックのうえ、正しい相続関係のお墨付きを頂けるので、金融機関等での戸籍チェックの手間が大幅に削減される
「法定相続情報証明制度」について
(遺言書が無い場合)遺産分割協議と協議書の作成相続税がかかりそうな財産額ならば相続税申告(10ヵ月以内)を考慮して早めに協議が調わなければ遺産分割調停や審判が必要になる可能性あり。

⑥相続

-相続確定後

手続き等期限どこへ必要書類備考
土地・家屋の名義変更相続確定後すみやかに不動産管轄の登記所

※ご自身で出来ない場合の代理やサポートは司法書士へ。
法務局/相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)
預貯金   〃 〃各金融機関・遺産分割協議書や遺言書が無くとも、銀行所定の相続依頼書への法定相続人全員からの署名と実印捺印、印鑑証明書全員分つければ、解約&振込はできる
・協議を待たずとも葬祭費用の支払い等、必要がある場合は[預貯金額の1/3×法定相続分割合](上限150万円)までならば、法定相続人一人が単独で仮払請求できる
この場合、全員から署名捺印と印鑑証明書を取得する必要は無い。
※ただし相続放棄が出来なくなる可能性があるし、仮払金額について協議時に揉めることも有り得る。
ご存じですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度
株式    〃 〃
普通自動車 〃相続確定後15日以内
デジタル遺品の承継や処分
※google等のアカウント。
各種サービス提供業者利用規約等を確認するかサポートへ問い合わせ
デジタル遺産 〃
※暗号資産、電子マネー、ポイントやマイレージ、デジタル著作物やアート、ネット銀行や証券口座など。
 〃 〃

⑦その他

手続き等期限どこへ必要書類備考
(被相続人に確定申告が必要な所得がある場合)所得税の準確定申告相続開始日から4ヵ月以内税務署

※ご自身で出来ない場合の代理やサポートは税理士へ。
相続税の申告・納付 〃   から10ヵ月以内 〃

3.注意点

注意点備考
法務局や税務署に出す証明書類には有効期限無し過去に収集したものについて内容変更が無ければ使い回し可能。
例えば相続登記のみの場合で、現在戸籍を既に持っており変更が無ければ、その部分は新規に集める必要無し。
亡くなられた方の資産のみとは限らない相続漏れ等により固定資産が前の被相続人のままというケースもあり得る
・固定資産税課税明細を確認し、被相続人以外の課税対象者がいないかの確認も必要

4.当事務所のサポート内容と料金

(1)サポート

・「相続関係説明図」または「遺産分割協議書」作成を含む戸籍等収集
・「法定相続情報一覧図」の作成と申出
・預貯金等の解約手続の代理
※不動産登記の部分は司法書士へ外注。

(2)料金(税込)

・戸籍等収集         :一か所につき1,000円 ※交付請求書のデータ作成のみは500円/通
※一か所の場合でも交付請求書を複数作成する場合は、2通以上分について500円/通の料金を上乗せ。
・法定相続情報一覧図作成と申出:15,000円~
・相続関係説明図作成     : 〃
・遺産分割協議書作成     : 〃
・預貯金等の解約手続の代理  :一か所につき20,000円
※料金は労力や難易度によって変動。実費は別途かかります。

5.ご参考HP

(1)いわき市

お悔やみハンドブック

大切な方が亡くなられた時の手続きチェックリスト

※非常に分かりやすくまとまっているかと思います。

6.更新履歴

・2023/10/02:ページ公開
・2024/02/02:「2」「3」追記

法定相続情報一覧図の作成

1.概要

(1)背景や概要

主に遺産分割協議書による相続手続の場合、被相続人の出生~死亡の戸除籍謄本に加え、法定相続人全員分の戸籍謄抄本(※)等の原本提出が必要になりますが、指定様式に従った「法定相続情報一覧図」を作成し法務局へ写しの交付申出(最大5枚)をすれば、相続手続において原本提出する戸籍の一部を「法定相続情報一覧図」の写しによって替えることが出来ます。

(原本提出とありますが、還付希望すればコピーを取って原本は返してもらえます。)

※謄本は戸籍記載の全部(全員分)、抄本は個人部分のみ。

(2)要件

-申出人と代理人

・申出できる者:被相続人の相続人
・代理 〃  :
①民法上の親族(「3親等内の姻族」「6親等内の血族」「配偶者」)
②資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士)

-申出できる管轄登記所

① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地

(3)メリットとデメリット

①メリット

・法定相続人が多い場合には戸籍枚数が増えるので、相続手続の際は申請者・提出先双方にとって手間や時間短縮になる

・一覧図交付申出の際に法務局で入念なチェックをしてくれるので、戸籍収集や相続関係での見落としが無くなる

・行政書士が登記部分を司法書士に依頼する場合にも、一覧図作成しておくとベター
※ただし遺産分割協議書または相続関係説明図作成無しで、法定相続情報一覧図作成のみ行うのは止めた方が良い。不動産登記のみの法定相続情報一覧図作成を理由とした職務上請求書使用は認められていない。

②デメリット

・作成と交付申出の手間

交付申出は無料だが、記載も様式に沿った正確さを求められるので手間はかかる。
不備があった場合は窓口提出または郵送での差替えや修正が必要となる。

・提出先が少ないor戸籍枚数が少ない場合は、そもそも作成の必要性が低い

もちろん相続人の確定で万全を期すならば、作成しておいた方が良いとは思う。

・数次相続の場合の手間

数次相続の場合は別個に申し立てる必要があり、それぞれ申出人になれる者が異なる場合は複数の申出人から委任状や本人確認書類をもらう必要も出てくる。

2.手順や必要書類

(1)手順

必要書類の準備

法務局(税務署も)に出す証明書類(戸籍や戸籍附票・住民票、印鑑証明書など)には有効期限がありませんので、過去に収集した書類で内容変更が無ければ使い回し可能です。

②法定相続情報一覧図の作成

様式や記載例のダウンロード
・エクセル等の表計算ソフトで一覧図作成
※作成に当たっての注意等は以下の「3.注意点」ご参照。
・一覧図への押印は不要(R3/4/1から)

③交付申出

・申出書と一覧図、添付書類を揃えて窓口または郵送での申出
※交付・返却を郵送希望の場合は、返信用封筒と切手(またはレターパック等)の同封も必要。

(2)必要書類

no書類備考
被相続人の戸除籍謄本出生から死亡まで。
 〃  の住民票除票写し
または戸籍の附票(⑦)
住民票除票の場合は本籍地記載が必要。
法定相続人の現在戸籍謄抄本・謄本でも良いが必要情報に絞るという意味では抄本
・同戸籍内に法定相続人が複数いる場合は謄本ならば一通で済む
申出人の本人確認書類コピー(原本証明入り)
または住民票写し
※原本証明は代理人でも可(R6/4/1~)。押印不要(R3/4/1~)。
・本人確認書類は「運転免許証両面」「マイナンバー表面」等
・(原本証明例)
「この写しは原本と相違ないことを証明いたします。
<年月日> 
      <氏名> <押印(認め可)>」
(一覧図に住所記載を入れる場合)
各相続人の住民票写し
または戸籍の附票、印鑑証明書
・相続登記をしないのであれば大体は不要
(代理申出の場合)
1.委任状
2.(親族が代理)申出人との親族関係が分かる戸籍謄本
3.(資格者が代理)資格者代理人団体所定の身分証明書コピー ※原本証明入。押印不要(R3/4/1~)。
・(3の原本証明例)
「この写しは原本と相違ないことを証明いたします。
<年月日> 
     <事務所名>
     <資格名><氏名> <職印>」

(3)提出や問い合わせ先

各法務局のホームページから管轄支局を検索。
福島県の場合は福島地方法務局 法定相続情報証明制度の管轄区域一覧

いわき支局
・所在:〒970-8026
福島県いわき市平字堂根町4番地11 いわき地方合同庁舎
・TEL:0246-23-1651
※自動音声で「3(それ以外)」をプッシュ。

3.注意点

注意箇所備考
証明書類の有効期限法務局や税務署に出す証明書類(戸籍や戸籍附票・住民票、印鑑証明書など)には有効期限が無いとのこと。(恥ずかしながら最近知りました)

ですので、過去に収集した書類で内容変更が無ければ使い回し可能です。
ただし金融機関や市役所等については話が別ですので、ご注意ください。
代襲相続における必要戸籍被代襲者に係る出生~死亡の戸除籍謄本も必要。
(例)
・推定相続人の子が代襲者:推定相続人死亡(被代襲者)→被相続人死亡→申出
⇒被代襲者の分が必要。

※数次相続の場合は、別の一覧図として申出する。
(例)
・被相続人の子が相続:被相続人死亡→被相続人の配偶者死亡→申出
⇒配偶者を被相続人として申出。
・ 〃 の配偶者や親・兄弟が相続:被相続人死亡→被相続人の子死亡→申出
⇒子を被相続人として申出。※子が1人の仮定。
一覧図の本籍や住所記載・戸籍や住民票の記載ママで書くように。例えば「四丁目」を「4丁目」と書くのは×
・算用数字の半角・全角は問わないが、統一した方が見やすいので〇
続柄・配偶者は「夫」または「妻」
・子に「次男や次女」は使わない
長男、二男、三男~。女も同様。
二男や長女などとせず「子」と書くことも出来るが、相続税申告等の手続きで使えない可能性がある。
・孫は「孫」
・養子の場合は「養子」と書く
・代襲者の場合、被相続人から見た続柄を書く
(例)「孫・代襲者」や「姪・代襲者」など。養子の場合でも同様。
住民票での本籍記載戸籍情報との照合のため本籍記載も必要。
住民票交付請求の際に希望しないと省略されてしまうので注意。
作成者欄ページ下に法務局の記載が入るので、大体ページ高の1/5程度は空けておく
・資格者が代理作成する場合は「法定相続情報一覧図について/別紙2」の通り「作成者:<資格名> <氏名>」とし、その下に「(事務所:<事務所所在地>)」とする
※「作成者:所在地 <事務所所在地>」「氏名:<資格名> <氏名>」としても良い。→使えない管轄があったので記載例通りに書くべし。
戸籍等の添付書類に不足があった場合・役所で追加交付をする際に被相続人との関係を示す必要が出てくることを想定して、被相続人と請求者との関係を示す箇所は最低限コピーしておくのが〇
※でないと添付書類を一度返却してもらう必要が出てきてしまう。
郵送申出手間は少ないが窓口申出・受取よりも日数がかかるので、時間的に余裕がある場合のみ利用するのが望ましい。
数次相続で途中の法定相続人(被相続人兼)が一人・作成者欄の上に申出人欄を設けて住所氏名を記載
(例)行政書士による代理申出の場合

死亡による遺産相続のケースに類似。
押印不要:「申出書」「法定相続情報一覧図」「委任状」「本人確認書類の原本証明」・押しても押さなくても構わない
※委任状と原本証明については自署が必要。
登記申請で法定相続情報番号が使えるようになった・法定相続情報番号を記載すれば一覧図写しの添付省略可能
※登記の話になるので詳細は書かないこととする。
申出人の本人確認書類における原本証明は代理人でも可能になった・今まで、下書きに日付記入と署名してもらうか、コピーに原本証明してもらうかだったが、コピー取得後は代理人側で準備出来るようになった
(士業による代理申出)委任状に士業名記載を求められる場合があった・厳しい管轄だと求められる模様
※作成者と合わせる意味だと思うので、申出書も合わせておいて損は無いかもしれない。
「申出書の代理人」「作成者」「委任状の代理人」の氏名欄:<士業名> <氏名>
被相続人が妻の連れ子と養子縁組していた場合・妻との二重線からでは無く、被相続人から直接養子へ線を繋げる
※妻とは養子縁組をしていないため。

4.当事務所のサポート内容と料金

基本的に法定相続情報一覧図のみの作成は承りません。
遺産分割協議書または相続関係説明図の作成とセットでご依頼頂く必要があります。

(1)サポート

法定相続情報一覧図の作成と交付申出の代理。

(2)料金

10,000~20,000円
※一覧図作成・申出部分のみの料金です。
法定相続人が多く一覧図作成に労力がかかる場合は、追加で料金を頂く場合があります。

5.ご参考HP

-法務局
法定相続情報証明制度の具体的な手続について
必ず用意する書類/必要となる場合がある書類
主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例

6.更新履歴

・2023/05/08:ページ公開
・2023/06/20:注意点と料金の記載修正
・2023/09/05:「2」と「3」修正
・2023/11/01:「1」追記
・2024/02/02:証明書類の有効期限について追記
・2024/04/17:「3」追記
・2024/04/22:「2」「3」追記・修正