建設業許可や経審等の電子申請(JCIP)

1.概要

(1)背景や概要

従来の書面での提出に加えて、ネット上のシステムを用いての申請が可能になりました。

申請における添付書類もデータ添付ですので、PC操作に慣れた申請者や代理人にとっては利便性向上となるかと思います。
代理申請では紙面での委任状作成は不要となり、gBizID同士で結んだ委任関係を用いたシステム上での委任状の作成・承認となります。

(2)要件

申請者がgBizIDプライムを取得している必要があります。
代理申請では、代理人もgBizIDプライムを取得していなければなりません。

※gBizIDプライムから作成したgBizIDメンバーでも可能。
gBizIDについてはこちらの記事にまとめてあります。

マニュアルでは「1.1.2.gBizIDプライムアカウント」(p26~)「1.2.委任状作成」(p34~)をご参照。

(3)メリットとデメリット

-メリット
《電子申請ならではの利便性》
・書面での原本提出が要らないため、データの入力と添付のみで申請可能
・内容は途中で保存でき、[申請・届出一覧]メニューから再開できる
・代理申請は、gBizID同士の委任関係を用いてシステム上で作成・承認する形のため簡易
※建設業の代理ではgBizIDエントリーは使えず、gBizIDを持たない申請者からの「委任申請書」も使えない
・書面申請の場合と比較して、省略可能な書類が多い
・申請データはpdfとして一括ダウンロード可能
※許可が通った後に一括ダウンロード+結合したデータをお客さんに渡せば、それが副本となる。ファイル結合ツールも使える。
・入力データについては、次回以降への使いまわしも出来る
・申請手数料も証紙等では無く電子納付
・JCIPが対応している建設業アプリならば、出力データをJCIPへインポート可能
・(特定かつ法人のみ)e-Taxと連携すれば納税証明書の添付不要

-デメリット
不正ログインや虚偽申請
無権利者や無資格者による代行
※これは建設業に限らない。
ただし疑義があった場合の発覚は容易そうなので、利便性に対する危険性の比重はかなり低いかもしれない。
システム操作や入力における慣れや、エラー発生時の対応が必要(「3.注意点」ご参照)
※そのうち、トラブルケース情報など充実してくるとは思う。

2.手順や必要書類

(1)手順

基本的には書面で出す場合と変わりません。
必要な証明書や添付書類等を取得し、必要事項を入力のうえ添付書類データを添付し、申請するだけです。

書類は電子データで、手数料納付も原則的に電子納付になりますので、書面提出や現金が不要になります。
代理申請の場合は、代理人が納付します。

詳細は操作マニュアルをご覧下さい。

(2)必要書類

渇愛します。
操作マニュアル(p56~)の必要な書類一覧をご参照下さい。
※ただ◎が付いている書類にも、システム上では任意のものがあったりします。

(3)提出や問い合わせ先

-国土交通省不動産・建設経済局建設業課
・電話:03-5253-8111

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3.注意点

種類気になった点備考
許可更新《連絡先》
代理申請の場合は、申請書の連絡先に代理人情報が自動入力される。
書き換えは可能。
・紙面申請:代理人連絡先に加えて申請担当者の所属や氏名、連絡先を記入
・電子申請:代理人か申請担当者のいずれか
 〃《エラー例》E00259:「営業所一覧表」「常勤役員等証明書」
それぞれ「使用人の一覧表」「常勤役員等の略歴書」が作成済みで無いとエラーが表示される。
申請書のトップに戻り、指定された書類を作成すればエラー解除される。
それらを先に作成しておくのも手。
 〃《エラー例》E00017:「常勤役員等の略歴書」「営業の沿革」
期間における「至」を空白にするとエラー。
沿革でも途中空白にするとエラー。
・紙面の場合は至の記述を省略できたが、電子申請では埋める必要あり。
・沿革での許可状況欄で「以後、更新」といった記述を使いたければ、直近の許可取得記載に追加して二行にするのも良し?
 〃《ワーニング例》W00057:「健康保険等の加入状況」
列[営業所の名称]で主たる営業所の名称が正確に記入されていてもワーニングになる。
ワーニングなのに右上の[戻る]ボタンでも戻れない。
ウィンドウまたはタブを閉じたうえJCIPのトップに入り直し、[申請・届出一覧]から再開すれば一応解決する。
 〃《システム上の問題》
突然、画面遷移エラーが発生し、入力継続できなくなる場合がある。
JCIPのトップに入り直し、[申請・届出一覧]から再開すれば一応解決する。
入力の際は下書きからのコピペこまめな保存が良いと思う。
 〃《添付書類の省略》
・役員の身分証明書:任意
・商業登記事項証明書:任意
・営業所の実態を確認する資料(内観・外観写真や建物登記事項証明書など):任意
・健康保険と厚生年金、雇用保険の加入状況証明:任意
・専任技術者の常勤証明(健康保険証等):不要らしい
・法人番号確認書類:電子申請では不要
任意のものを添付する分には全く問題無し。
身分証明書が任意になっていたのには少し驚いた。

変更有の場合など、例え任意でも実質必須のケースもあるだろうから、その点ご注意。
 〃《ファイル添付》
添付ファイルはアップロード後に保存すると、システム固有の番号を含んだ名前へと変更される。
結局変わるので、ファイル名を気にする必要は無し。
もちろん自分が区別できるよう整理しておく分には良いと思う。
役員等の変更法人代表者変更に伴うgBizID情報との齟齬・法人代表者が変わった場合は、新たな代表者でgBizIDを再取得のうえ旧ID情報を引継ぎする必要がある
・しかし登記完了後にgBizIDを取り直してから変更届出を行うとなると、おそらく時間的に厳しくなるはず
・許可官公庁次第だが、旧IDでの変更届出後に新ID再取得で問題ないと思う
でないと非常に不便になってしまう。
※代理申請の場合は、代表交代前に委任状を作成するのも手かと思うが、それでも申請者が旧代表者のままという実態との齟齬は生じる。
福島県は、新ID取得の必要あり。
代理人情報・連絡先の「所属」「FAX番号」は、申請や届出時に毎回記入する必要がある
「電話番号」にもハイフンを入れ直す必要あり
→今は自動でハイフンが入る仕様に変更されている。
・委任状で「FAX番号」を入れたとしても連絡先には使いまわしされない
gBizIDから情報を引っ張ってくるので、仕方無いのかもしれない。
決算変更届出《エラー例》E00021、E00295:「工事経歴書」
PC・法面処理・鋼橋上部の金額入力しないと内訳や小計合計部分でエラーになる。
工事施工額が無ければ0で埋める。
 〃《エラー例》E00009:「直前3年の各事業年度における工事施工金額」
その他の建設工事の施工金額を入れないとエラー。
無ければ0で埋める。
 〃損益計算書は各項目の合計を入れないとエラー。
※貸借対照表は大丈夫っぽい。
金額が無くても合計に0を入れる。
 〃完成工事原価報告書が未作成またはNGだと、損益計算書もNGのままになる。
※損益計算書と完成工事原価報告書の完成工事原価に差異がある場合も同様。
両方とも完成させれば解消。
 〃【注意】注記表作成で、エクセル下書きからのセル値コピペ等でタブが入るとエラーになる。
※貸借対照表や損益計算書はセル値コピペで大丈夫っぽい。
文字列だけ選択してコピペするなど、余計なタブや改行が入らないようにする。
 〃【注意】工事経歴書
・業種タブは初期状態では「土木一式」になっている(白塗)
・取得業種がオレンジ塗になっているので見誤らないよう注意
※白塗が現在の選択業種。
・業種を誤った場合は入力フィールド全部削除
※業種1つなら書類クリアが早い
 〃【注意】工事経歴書その他あれこれ
・技術者氏名が2段あるのは2名書ける意味に過ぎないので、とりあえず上段に書けば良し
・施工金額については、完成工事基準の場合は下段(括弧無し)に入力
※上段(括弧あり)は工事進行基準の入力欄。
・[完成または完成予定年月]列では、年号プルダウンと[未成工事の場合はチェック]のチェック欄が近いので、年号選択時に誤ってチェックを付けないよう注意
 〃・前回の申請データを取り込んだ場合、財務諸表基本設定が未完だと工事経歴書作成時に事業年度に係るワーニングが発生する・特に支障は無いが、気になるなら財務諸表基本設定を先に作成するのも手
許可新規<エラー>「使用人数」シート
・営業所一覧にある営業所以外の行を含めたまま保存するとエラー
・単にデフォルトで二行表示されているためなので、不要な行を削除
 〃<入力不具合>専任技術者証明書(新規・変更)シート
・[今後担当する建設工事の種類]のコードが選べない時がある
・とりあえず保存すれば多分直る
処理時間電子申請でも時間を要する場合がある・届出でも1~2週間かかる場合がある
※処理量の問題らしい。
・届出受理後に他の手続きが控えてなければ、送信した日が提出日となるので特に支障は無い

4.サポート内容と料金

(1)サポート:特になし

(2)料金  : 〃

5.ご参考HP

(1)公式HP

国交省/建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP:Japan Construction Industry electronic application Portal)

電子申請システム(JCIP)

建設業許可等電子申請システムの概要(令和4年10月時点)

操作マニュアル1.4版(R5/4更新)

別紙:「申請・届出書類ダウンロードファイル名一覧」「電子署名検証方法例」

6.更新履歴

・2023/02/27:ページ公開
・2023/04/20:操作マニュアル1.4版(R5/4更新)に合わせて、リンク等を修正
・2023/06/27:「3」追記
・2023/07/05: 〃
・2023/12/06: 〃
・2024/07/22: 〃
・2024/12/11: 〃
・2025/01/19:「2」追記

許認可・届出/概要

1.概要

①許可

許可とは、ある事業を行うために行政側から得る必要があるお墨付きのようなもの。
許可が必要な事業や行為は、審査により許された又は認められた者以外は禁じられていると言えます。
申請先は、許可の種類によって地方自治体、保健所、税務署など様々です。

②認可

認可は、適法な申請が要件を満たしている際に補完的に効力を発生させるもの。
認可を得なければ、当該目的を達成できないような行為が該当します。
認可も許可の一部と捉える場合があり、例えば農地の売買や転用時に得る農業委員会の許可も、認可になります。

③届出

届出は主に事業者が事業内容を通知または報告するもので、内容が正当であれば受理されるので審査は入りません。
建設業許可における決算変更届出など、許可業者が定期的に提出を求められる届出もあります。

※上に「登録」「免許」を加えた5つを許認可と呼ぶ場合もあります。
免許についても、運転免許や医師免許、美容師免許など許可的な性質を持つものと、漁業免許のように特定の者に特権や地位を与える特許の性質を持つものがあります。

2.手順など

(1)要件

許認可の種類によって要件はマチマチですが、大体は以下のいずれかに当てはまるかと思います。
必ず各許認可の手引き等で詳細を確認することをお勧めします。

①「人材」:経験や能力、資格保有者など

②「モノ・場所」:資材・機材や車両運搬具、建物や土地など

③「財産」:資本金や資金調達能力など

④「計画」:事業、資金、経路、運搬などに係る計画

⑤「事業者の状況」:健康保険や雇用保険加入、納税義務の遵守、加点となる評価対象達成など

⑥「(業務や契約等に関する)誠実性」

⑦「欠格要件に該当しない」

(端折っているので、詳細は手引きや法令をご参照)

・申請書や添付書類:重要な記載の虚偽や欠如あり
・一定期間未経過:不正・違法行為による許可取消、禁固以上の刑、暴力団関係、暴力団員の不当な行為または刑法での特定行為もしくは処罰対象の暴力行為での罰金刑
※執行猶予については満了後は欠格要件で無くなります。
・未回復:意思能力欠如・不足(成年被後見、被保佐人)や破産者
・暴力団から支配を受けている
※申請者だけでなく会社役員や支配人、営業所代表も。また、申請者が未成年の場合の法定代理人も対象となる場合が多いです。

(2)準備のコツ

①整理

要件が満たされていれば、あとは申請書と添付書類の準備となります。
申請書は決められた様式での情報記載。添付書類は主にそれらの内容を証明する位置付けと言って良いかと思います。

実際のところ申請書は転記的な部分が多いので、添付書類の収集と整理の方に時間を要するかもしれません。
チェックリストの活用や並び替えなど、整理能力が関わってくるかと思います。

②効率化

申請書作成についても公開されている様式をそのまま使うこともできますが、もし何度も使う可能性がある書類ならば、エクセル等で半自動化することで正確かつ効率的に入力を行うことができます。

許可によっては有償または無償ソフトがあります。
そちらは別の記事で紹介したいと思います。

※当事務所では、申請書関係に限らずそのような独自ツールを生み出す工夫をしています。

3.更新履歴

更新履歴

・2022/09/03:ページ公開
・2025/03/08:「2」修正、デザイン変更

食品衛生/食品事業のHACCPに沿った衛生管理(途中)

1.HACCPとは?

(1)背景など

現在、飲食店や食品製造業者などの食品提供や製造に係る管理手法「HACCP(ハサップ)」が義務化されています。
あまり詳細には触れず、HACCPの概要と具体的手法、福島県で提供しているアプリ「ふくしまHACCP」の使用法について、以下記したいと思います。

HACCPとは「Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析重要管理点)」の略称。
一言で言えば要所抑え。製造工程の中で危険度が大きい部分を抽出し、そこを絶対に外さないように注意し記録する手法になります。

元々は、宇宙食製造における品質管理手法として生み出されたもの。
宇宙では医療が受けられないので、宇宙食で食中毒や感染症になったら大変です。
サンプル抽出で品質チェックするだけでは不十分。かといって全品検査すれば大変な手間になります。

ですので全工程において、異物や細菌などの混入、また品質劣化に繋がる恐れのあるポイント(重要管理点)を洗い出し、そこを必ず抑えることで品質を安定させる手法を取りました。
結果では無く過程の管理術と言えるかと思います。

(2)具体的手順

具体的な手順と原則として、以下の「12手順、7原則」があります。
12手順の後ろ7つが必須項目としての「原則」、7原則は特に重要な部分を差します。

手順no内容原則no(必須)
1HACCPのチーム編成
2製品説明書の作成
3意図する用途及び対象となる消費者の確認
4製造工程一覧図の作成
5製造工程一覧図の現場確認
6危害要因分析の実施(ハザード)1
7重要管理点(CCP)の決定2
8管理基準(CL)の設定3
9モニタリング方法の設定4
10改善措置の設定5
11検証方法の設定6
12記録と保存方法の設定7

数が多いように見えますが、手順1~5は前準備。
必要であれば対策チームを作り、製品や消費者、製造工程や現場について掘り下げる作業となります。

すでに熟知している場合は、必須項目の手順6~12から始められます。
現状の工程における危険要因とその箇所を洗い出し、どうやって管理・把握し未然防止すれば良いかを考えます。
さらに、対策による効果を検証する手段も決め、さらなる改善や問題発生時のために記録や保存方法も定める必要があります。

(3)個人的所感

作業工程の詳細については事業者ごとにノウハウがあるでしょうから、素人の私が何かを述べることはできませんが、一つだけ重要と考えていることがあります。

それは「HACCP導入をすることは、現状プロセスの見直しや最適化をする機会に繋がり得るということ」です。
無理や無駄な工程が残ったまま危害要因や管理基準を検討しても、実施の段階で非常に手間がかかったり、現実性が無いためチェックが形骸化してしまう可能性があるかと思います。

また、既存の工程に拘っていたが為に見えなかった危害要因もあるかもしれません。

このようなことは、別に食品に限ったことではなく仕事全般に当てはまることだと思います。
本当に必要な工程か、反復を排除できないか、動線に無駄がなくスムーズか?など、何度も試行錯誤した上で得られる自分ならではの仕事のやり方、工夫となるはずです。

また、このような考え方は危害要因だけでなく付加価値の追加にも応用できそうです。
より良いものを安価に、広く誰にでも提供できる事業者固有の強みとなることは間違い無いと思います。

そういった意味で、個人的にHACCPには深い魅力を感じています。

2.ふくしまHACCP

福島県では、HACCPの導入がし易いようPCやスマホで使えるアプリ「ふくしまHACCP」が提供されています。
食品製造の形態によって管理基準の雛形が用意されているため、使いながら設定や管理方法の理解が進むのではと思います。
HACCP導入に関して何から始めて良いか分からないという方は、利用されることをお勧めします。

(1)メリットとデメリット

(2)注意点

3.ふくしまHACCPの導入と管理

(1)インストール(スマホのみ)

(2)新規登録

必須:メアドとパスワード、氏名、年代
任意:所属と役職
を入力して登録。

(3)事業者情報入力

(4)管理基準の設定

(5)日々の記録

(6)履歴確認と修正

4.参考HP

– 公益社団法人日本食品衛生協会/HACCP(HACCP導入のための7原則12手順)
http://www.n-shokuei.jp/eisei/haccp_sec05.html

– ふくしまHACCP公式ページ
https://fukushima-haccp.com/

– WEBアプリ版
https://fukushima-haccp.jp/b/

– スマホアプリ
・android(google play store)
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.multi.FukushimaHaccpApp&hl=ja&gl=US
・iphone(app store)
https://apps.apple.com/jp/app/id1490682221