1.概要
(1)背景や概要
動産への抵当権設定は基本的に出来ませんが、特別法で例外指定されているものについては可能です。
一定の建設機械についても、特別法である建設機械抵当法に基づき打刻や検認を行えば、所有権保存や抵当権設定の登記ができるようになっています。
(2)要件
・建設業法2条1項で規定された建設工事の用に供される機械類である
※機械類の範囲については「建設機械抵当法施行令/別表」ご参照。・申請者が、建設機械所在の都道府県において建設業許可を有している
※知事許可の場合は建設機械所在地の都道府県知事許可。大臣許可ならばどこでも可能。・申請者が建設機械の所有権を有している
・建設機械が質権、差押え、仮差押え、仮処分いずれの対象にもなっていない
打刻・検認後の所有権保存と抵当権設定の登記には期限があり、その期間内に登記を行わないと打刻・検認証明書が失効してしまいます。
※所有権保存登記は打刻・検認の翌日から2週間以内(建設機械登記令/9条)。
抵当権設定登記は所有権保存登記後30日以内(建設機械抵当法/8条)。
(3)メリットとデメリット
①メリット
・動産である建設機械に抵当権設定の登記ができる
・登記での所有権や抵当権に係る第三者への対抗ができるので、動産信用が高まる
※ただ動産であるし、抵当権者の優先的弁済も占有移動が無いことが条件となっている。
②デメリット
・打刻や検認をしたあと一定期間内に所有権保存と抵当権設定の登記をする必要がある
・建設機械に係る変更があった場合は、国交省へ変更届等を出す必要がある(郵送可能)
2.手順や必要書類
(1)手順
①申請書と添付書類の作成・準備
②申請先へ事前連絡
③提出
※ほとんどが窓口提出だが、郵送可能な都道府県もあり。
大臣許可の場合や変更届の提出先は「国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課 建設機械抵当法担当」
④証明書発行後の手続き等
・所有権保存登記:打刻・検認翌日から2週間以内
・抵当権設定登記:所有権保存登記後30日以内
(2)必要書類
①打刻/検認申請
書類 | 備考 | ご参考 |
---|---|---|
建設機械打刻/検認申請書 | ||
売買契約書+領収書の写し | ||
機械の登録証書または仕様書 | 建設機械抵当法施行令第4条に規定する内容が分かるもの。 | |
機械の詳細がわかる写真数点 | 申請者の看板等と一緒に写すか、または会社の敷地内にあると認められるように撮影。 | |
建設業許可通知書の写し | ||
売主・買主双方の商業登記簿謄本 | 正本には原本、副本には写しを添付。 | |
売主・買主双方の印鑑登録証明書 | 〃 | |
法人事業税納税証明書 | 〃 | |
誓約書 | ||
②変更や証明願など
提出先は国交省。郵送可能。
書類 | 備考 | ご参考 |
---|---|---|
変更届 | ・譲渡した場合は譲受者、譲渡者いずれからの提出も可能 ※譲受側で変更届と取得届を同時に提出するのが楽。 | |
(譲渡した場合)取得届 | ||
(滅失または解体した場合)滅失・解体届 | ||
(台帳記載事項を証明して欲しい場合)証明願 | ・証明して欲しい項目は全て記載する必要がある ・様式はネット上には無い模様 ※自身で準備出来ない場合は国交省からFAX等で送付してもらう必要がある。 |
(3)提出や問い合わせ先
・(知事許可の場合)建設機械が所在する都道府県の建設産業部課
※福島県の場合は土木部建設産業室。
・(大臣許可業者による申請や変更届等の場合)
〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課 建設機械抵当法担当
TEL:03-5253-8111(内線24-716)
3.注意点
注意箇所 | 備考 |
---|---|
証明願では記載した項目しか証明書に載らない | |
4.当事務所のサポート内容と料金
-サポートと料金(税込)
・打刻または検認申請:30,000円~
・変更届や取得届、証明願の下書き作成:10,000円~
5.ご参考HP
(1)申請・変更届について
-岡山県/建設機械抵当法に基づく打刻及び検認について
-鳥取県/建設機械抵当法に基く打刻及び検認について
-建設業労働災害防止協会/改元に伴う建設業法施行規則等の様式の改正について(通知)
※申請書、変更届、滅失・解体届、取得届。
(2)関係法令
-e-gov
・建設機械抵当法
・建設機械抵当法施行令
・建設機械抵当法施行規則
・建設機械登記令
※表題部:以下と打刻記号
イ 名称、型式及び国土交通省令で定める仕様
ロ 製造者名、製造年月及び製造番号
ハ 原動機(起動用原動機、エア・モーターその他国土交通省令で定めるものを除く。)を有するときは、その原動機につき種類、定格出力及びこの号ロに掲げる事項
ニ 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)による自動車登録番号を有するときは、その自動車登録番号
(3)その他参考
-行政書士オフィスわかほ/建設機械の所有権保存登記と打刻又は検認の制度について
-さいとうゆたか法律事務所/建設機械の売買と即時取得
※建設機械の買主に重過失があったため即時取得が認められなかった判例を紹介している。
6.更新履歴
・2024/05/19:ページ公開
・2024/05/21:「1」「5」追記